HIROSHIMA GOOD THINGS

チューリップの針

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広島県広島市西区楠木町

学校で、家庭で、世界40カ国以上の国で、愛される続けるチューリップの針。

「チューリップの針」といえば、小学校の家庭科裁縫セットなどで手に取った、花型の飾りがついた“あの”まち針を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。それもそのはず、チューリップの針は小学校の家庭科教材用針セットの業界シェアNo.1。“あの”花型の飾りは、子供達が針を落としたり見失ったりしてもより見つけやすいように、そして名前を書けるように、という優しさによるものだ。

ところで現在、広島は手縫い針、まち針の全国生産量のうち実に9割以上を占める日本最大の針の産地であることをご存知だろうか。多種多様な産業の中で、針の製造に関わる企業も沢山あるのだが、その中でも日本だけでなく世界40カ国以上で愛されているという世界的な信頼も含めて、このチューリップ株式会社が日本の針業界をリードしているということは疑いようがない。しかしなぜそれほどまでに広島で針づくりが盛んなのかといえば、その歴史は遠く300年以上も昔、藩主浅野家が下級武士の手内職として普及させたことに始まる。広島湾に注ぐ太田川の上流50kmの中国山地にある加計地域(現、安芸太田町)は、江戸時代には出雲と並び中国山地の大砂鉄地帯に根付いた「たたら製鉄の中心地」だった。そこで出来た鉄を太田川の水運を使って現在の広島市に運び、針として加工することで産業が発展したというわけだ。

曲がりにくく、よくしなる、最高の布通り。

チューリップの針が多くの人に支持される理由、それは、針の生命である「布通りの良さ」と「弾力性」にある。小さな針一つひとつになんと30以上の工程を費やし、品質管理を徹底しているからこそ誰もが縫いやすいと声を揃える針が実現できるのだ。そうして作られる針の種類は用途に応じて様々なのだが、ひとつ面白いものがある。その名も「マジック針」。普段針仕事に縁遠い男性やそろそろ年齢的に針穴が見えにくくなってきたという人など、針に糸を通すだけでもなかなかうまくいかず面倒だと感じることも多いだろう。それでも時にはボタン付けくらいはできた方がいい。このマジック針は針穴側のてっぺんが溝のようにくぼんでいて、その溝に糸をあてがって下に下ろせばあら不思議、誰だって簡単にマジックのように糸が通ってしまうという優れものだ。マジック針以外にも様々な針がラインナップされている「針ものがたり」シリーズは、コルク栓のシリンダーケース入りでその姿がまた可愛いもんだから何種類か常備しておきたくなる。小さな中にたくさんのこだわりが詰まった、暮らしの「衣」を支えるGOOD THINGだ。

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